(1)モサラベの道(Camino Mozárabe)の概要
モサラベの道(Camino Mozárabe)はイベリア半島南東部のアンダルシア州の地中海に面したアルメリア(Almeria)を起点としてエストレマドゥーラ州(Extremadura)のメリダ(Mérida)までを南北に結ぶ約620Km(23 Etapa)の巡礼路です。メリダ(Mérida)でVia de la Plata(銀の道)へ合流してサンティアゴ・デ・コンポステーラ(Santiago de Compostela)へ向かいます。アルメリア(Almería)からの巡礼路はマラガ(Málaga)とハエン(Jaén)からの巡礼路とも合流してそれぞれの街からも歩き始める事が出来ます。
スペイン南東部にはシェラネバタ山脈(Sierra Nevada)がありアルメリア(Almería)からグラナダ(Granada)間はシェラネバタ山脈の北麓を歩きます。グラナダ(Granada)からコルドバ(Cordoba)は連日広大な丘陵地のオリーブ畑の巡礼路ですがコルドバ(Cordoba)を過ぎるとコルク樫の林が現れVie de la Plataと似た風景になります。シェラネバタ山脈(Sierra Nevada)の北麓で約1,400mの標高がありますが巡礼路の標高差は最大で約400mで宿泊地との区間(Etapa)距離が35kmになる箇所がありますが全体的に比較的歩き易い巡礼路と言えます。
Camino Mozrábeはアルメリア(Almeria)、グラナダ(Granada)及びコルドバ(Cordoba)の各友の会が構成する”Federación Andaluza de Amigos del Camino de Santiago”が巡礼路の整備を進めている様で道標も完備され最近歩く巡礼者が増えています。
広大なオリーブ畑 | 岡の上の村と城壁(Magacela) |
(2)モサラベの道(Camino Mozárabe)の歴史
モサラベの道(Camino Mozárabe)のアンダルシア地方は古代から北アフリカとの関係を密接にしてきましたが、特に8世紀から約800年続いたイスラム教徒による支配はこの地域に多大な影響を与えました。1236年にカスティージャ王国のフェルナンド3世によってメリダ(Merída)、コルドバ(Cordoba)等がイスラムの支配から解放されましたが グラナダ(Granada)はナスル朝によるグラナダ王国として1492年の陥落までイスラムの支配が継続しました。この為グラナダ(Granada)のアルファンブラ宮殿やコルドバ(Cordoba)のメスキータ等の建築や多くの都市にイスラムの要塞や文化が現在まで残っています。
モサラベ(Mozárabe)とはイスラム支配下のキリスト教徒の事を言います。8世紀のムスリム政権では異教徒ととして寛大でしたが、9世紀以降の政権では迫害が続き多くがイスラム教に改宗を余儀なくされました。モサラベの道(Camino Mozárabe)は古代からのスペイン北部への交易路でしたが8世紀頃のモサラベ(Mozárabe)はこの道から銀の道(Via de la Plata)を経由してサンティアゴ巡礼に出かけた巡礼者がいたものと思われます。
モサラベの道(Camino Mozárabe)の行程は以下の通りです。
(1) Almería - Merída ; 620Km 23 Etapa
(2) Málaga - Baena ; 153Km 6 Etapa
(3) Jaén - Alcaudete; 43.54Km 2 Etapa
図 1.1 全体ルート図 (Camino Mozárabe)
¿Qué es el Camino Mozárabe? Federación Andaluza de Amigos del Camino de Santiago.; https://caminosantiagoandalucia.org/que-es-el-camino-mozarabe/ より
下記のHPに詳細な行程・ルート図がありますので参考にしてください。
・Gronz.com ; https://www.gronze.com/camino-mozarabe
・Mundicamino ; http://www.mundicamino.com/los-caminos/47/camino-mozarabe/
モサラベの道(Camino Mozárabe)の宿泊施設は上記のWebサイトに紹介されています.
また、下記のWebサイトにも記載があります。
・Federación Andaluza de Amigos del Camino de Santiago.
https://caminosantiagoandalucia.org/que-es-el-camino-mozarabe/
2018年10月にグラナダ(Granada)からメリダ(Merída)までの行程を歩きました。 この為、全区間についての状況は不明ですが気が付いて事項を下記へ記載します。
(1)アルベルゲが少ない
各区間でアルベルゲのない街(村)がありますが、ホスタル、Bar等が代替に巡礼者の受け入れを行っており比較的安価な値段で宿泊が可能です。
(2)区間距離が長い箇所がある
コルドバ(Cordoba)からメリダ(Merída)へ向かう途中のビジャアルタ(Villaharta)ーアルカセロス(Alcaseros)間は35Km、イノホサ・デル・デウケ(Hinojosa del Duque)-モンテルビオ・デラ・セレナ(Monterrubio de la Serena間は32Kmありますがそれぞれタクシーを利用する事が可能です。
(3)広大なオリーブ畑の巡礼路
グラナダ(Granada)からコルドバ(Cordoba)間は広大な丘陵地のオリーブ畑が広がっており、巡礼路は畑の中の農道を歩きますが、この畑を世界遺産に登録する動きもあるとの事で素晴らしい景観です。
(4)道標は完備されている
すべての区間で道標は完備されており、特に迷うところはありませんでした。
ロゴ | Camino Mozarábeの道標 |
モサラベの道(Camino Mozárabe)のガイドブックは多くありませんが、現在購入可能な主なガイドブックには下記があります。
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書名 :Guide du Camino Mozarabe Broché 著者 :Gérard du Camino Amazon frで購入可能です。
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書名 :Camino de Santiago Mozárabe de Málaga/ Kindle版もあります。
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